| 居酒屋 |
(いざかや)必ず日本酒が提供されている純日本風飲み屋。日本酒が提供されていない可能性があるところはわざわざ”洋風居酒屋”、”南欧居酒屋”などと謳って区別していることが多い。わたくし管理人が世の中で一番投資している先は、女性へのプレゼントではなく、間違いなくここ居酒屋である。日本酒を造って売る立場になる前から、お酒の銘柄の流行、その提供のされかた、客層、料理、サービスというものに対して常に関心を持ち続けていた。もう時効だが、何を隠そう、高校生のころから千円札1枚握り締めては居酒屋にせっせと通い、高校卒業の頃には既にいくつかの店では常連になっていた。余談だが、自分の高校の古文担当の教師と居酒屋でばったり会って一緒に飲んだこともあった。
居酒屋の呼び名の由来は、一説によれば江戸時代の中ごろから小売の酒屋の軒先でちょいと一杯引っ掛けるところを作って、簡単なつまみを提供し、ここで飲んで帰ることを当時「居酒(いざけ)」と呼んでいたことに端を発するらしい。このようなスタイルは20年位前までは「角打(かくうち)」という呼び名で比較的良く目にしたのだが、今はあまり見かけなくなった。自宅で飲めばはるかに安くあがるのにどうして世の男達は外で飲んで帰るの?、という女性からの文句を耳にするのだが、男とは元々そういう習性なのだから仕方がない。何故遅く帰りたくなるのかはあまり追求しないほうがいい、とだけ世の女性方に申し上げておきたい。
さて、私は居酒屋を選択するファクターとして、サービス(人)という項目をとても重要視する。たとえ酒が最高で、料理が最高で、内装、雰囲気が最高だったとしても、人が良くなかったらそこには絶対行かない。色々な店を見てきたが、まさに人だけが合わなくて行くのを止めてしまった店がある。いまはもう店はなくなっているのだが、高円寺に少し高級なうまい焼き鳥(しゃも)を食わせるBという焼き鳥屋があった。結構流行っていたため、ちょっと遅い時間は予約しないと入れなかった。何回目かの時、予約に15分遅れてきたらしい客が申し訳なさそうに入ってきたことがあったのだが、店主はその客にむかって「あなた!(はっきりとこう言った)、15分も遅れて、しかも遅れる連絡もないので、もう席はないです、帰ってください」と言って客を追い返してしまった。確かに店主の言いたいことは分かる。予約客がきっちり時間通り回ってくれたら売り上げは伸びるし、予約ばっかり受けると席の効率が悪くなるので、いかに上手に捌くかがこういう店ではとても重要である。しかし、ブロイラーの鶏に餌を与えているのではないのだから、お客様に少しでも寛いでもらって、可能な限りゆっくりしてもらう、という気持ちが大前提として存在していればこんな対応はしないはずである。私は、(1)次回から遅れる時は連絡をいただけますか、とあくまでも低姿勢でお願いする、(2)店主の強い態度はたとえ当事者ではなくても、お客様によっては快く思わない(リラックスできない)ということを念頭に置く(他の客に配慮する)、(3)尊大な言葉遣いは絶対に行ってはならない、というサービス業として最も重要な3つの要素が足らないように感じた。要するに、尊大な店主がいる店は私がリラックスできないので一遍に酒も料理もまずくなったのである。それ以来私は二度とその店には行っておらず、お店もいつのまにか高円寺から姿を消したようだ。
今流行のラーメン屋で、店主が客を睨み付けたり、私語厳禁を強制したりするところがある。まあ、そういう店をやるのは本人の自由だが、その店を有難がって通う人間がいることが私には信じられない。少なくともリラックス出来ない状態で飲食物を提供するような場所は、たとえそれがミシュラン三ツ星級の料理であっても、世界一まずい飲食店であると私は断言できる。逆に、暖かい気持ちともてなしの心を感じるお店は、たとえ料理が上等でなくとも何度でも通ってしまう存在となる。 |