(きょうかいきゅうごうこうぼ)国税庁の外郭団体である(財)日本醸造協会(醸協)が頒布する酵母のうち9号は特にサラブレッド的存在の酵母として有名である。YK35のKに相当する酵母で、一時は協会9号でなければ全国新酒鑑評会への入賞は難しいとまで言われていた。この酵母は、昭和28年熊本の蔵元である香露で抽出された。特徴は吟醸香が出易く、低温での強い発酵力から吟醸酒、特定名称酒に向いている。
ところで、蔵付き(変形)酵母、×号系自社保有酵母という言葉があるように酵母は何処にでも存在し、しかも酒を造る技術をもったところであればいくらでも培養が可能である。酵母の存在が明らかでなかった時代はそこらに漂う酵母(野生酵母)を利用して酒造りが行われてきた。しかし蔵の新しいスタートの場合はともかく、少なくとも何年か造りが続いた蔵ではたぶん蔵に漂っていたであろう割と均一の酵母(蔵付き酵母)が毎年世代交代を繰り返し、そこの蔵で行われた酒造りのスタイルによって鍛えられてきた(訓練されてきた)ものが発酵を担っていたと想像される。
現在は、毎年醸協から酵母を購入してオリジナル特性のままで協会酵母を使うところもあるが、ベースは協会酵母でも自社で保有、変形させて自分の蔵の造りや酒質に合わせて改良したものを使用する蔵元も多い。協会9号は、実は上手に造れば、派手さの目立つカプロン酸エステルよりもむしろ落ち着いた芳香の酢酸イソアミルの方が主体となり、上品な良い酒になる。そのように造られたお酒は実は私は好きであり、昔からなじんだ懐かしいほっとする吟醸酒です。ただ、そんな特性をもつ9号酵母も自社で変形する過程でカプロン酸が出易い特性の酵母に変化させることも可能であるため、造る人の感性がド派手傾向に向かえば、たとえ”9号系酵母使用”となっていてもオリジナルな特性からは想像もつかないような化粧水だって出来てしまうのである。要は、酵母よりも何よりも造る人の感性次第だと思います。
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